骨格筋電気刺激 (Electrical Muscle Stimulation, EMS)

1. 概要

骨格筋電気刺激(EMS: Electrical Muscle Stimulation)は、電気パルスを用いて筋肉を直接刺激し、収縮を誘発する技術です。主に筋力トレーニングやリハビリテーション、美容分野で利用されています。EMSは、筋肉の神経を介さずに直接刺激するため、通常のトレーニングでは鍛えにくい筋肉にもアプローチが可能です。


2. 歴史

EMSはもともと医療分野で、筋萎縮や麻痺患者のリハビリテーションを目的に開発されました。1970年代にはソ連のスポーツ科学者がトレーニング効果を検証し、アスリートのトレーニングに導入されました。その後、美容やフィットネス分野に応用が広がりました。


3. メカニズム

3.1 筋肉の収縮原理

筋肉は、神経からの電気信号によって運動神経を刺激して筋収縮します。EMSはこれを人工的に再現し、皮膚上の電極から電気パルスを送ることで筋繊維を刺激します。

3.2 EMS周波数

  • 1〜15Hz: 低周波 単収縮
  • 15~20Hz前後: 不完全強縮

4. 種類と用途

4.1 トレーニング用EMS

筋力増強や体脂肪の燃焼を目的としたEMS。特に腹筋ベルトなどが人気。

4.2 リハビリ用EMS

麻痺や筋萎縮患者のための医療用EMS。特定の筋群を選択的に刺激。

4.3 美容用EMS

顔やボディラインの引き締め、美肌効果を目的としたもの。低周波を用いることが多い。


5. 効果と科学的根拠

5.1 筋力増強

EMSは、通常のトレーニングでは到達しにくい速筋線維(Type IIb)を効率的に刺激します。

5.2 脂肪燃焼

中周波のEMSは基礎代謝を高め、脂肪燃焼を促進します。

5.3 リハビリ効果

麻痺や廃用症候群の患者に対し、筋萎縮を防ぎ機能回復をサポート。特に脳卒中後のリハビリに有効。

 


6. 法規制と薬機法

日本では、EMSは雑品の場合と低周波治療器などの「管理医療機器」として分類されており、薬機法の対象となる場合があります。よって、用途や効果表現によって医療機器認証が必要です。


7. 代表的なEMSデバイス

  • SIXPAD: トレーニング特化型
  • PowerDot: リハビリ向け