Dysonがコスメ開発へ? 特許情報から読み解く新戦略
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はじめに
掃除機やドライヤーで知られるDyson(ダイソン)が、実はコスメ・美容分野に参入する可能性を示す特許を出願していることをご存知でしょうか。公開特許「WO2025172852A1」や最新の商標出願、さらには実際の製品展開を踏まえると、Dysonの次なる一手が見えてきます。
特許「WO2025172852A1」とは?
- 公開番号:WO2025172852A1(2025年8月公開)
- 出願人:Dyson Technology Limited
- 内容:マイクロニードルを成形する製造方法と、それを用いて皮膚や頭皮へ有効成分を送り込む技術をカバー。
この出願は医療用途にも使えますが、化粧品成分の経皮・経頭皮デリバリーを含む幅広い応用を示しています。Dysonが単なる「美容家電」から、スキンケア・スカルプケアの新領域へ進む布石と考えられます。
Dysonはすでに“化粧品”を販売中
実はDysonは、既にヘアケア向けのスタイリング剤を発表しています。
- Chitosan™シリーズ
キトサン由来成分を使ったプレスタイルクリームやスプレーを展開。 - Omega™ Nourishing Range
自社農場「Dyson Farming」で採れたヒマワリ油を配合したヘアオイルやリーブインスプレー。
これらは「デバイス+化粧品」という新しいビジネスモデルを象徴しています。
商標出願から見える方向性
Dysonは以下の商標も出願済みです。
- DYSON CHITOSAN(ヘアケア用化粧品一式)
- DYSON OLI7(自社開発ブレンドオイル)
商標戦略からも、消耗品ビジネスを本格化させる狙いが明らかです。
皮脂コントロール処方の特許も
さらにDysonは、皮脂産生を抑える化粧品組成に関する特許(WO2023238056A1, WO2023238058A1)を出願しています。
ここではオレアノール酸などを用いた処方が開示されており、オイリー肌や頭皮ケア、毛穴対策など、従来の美容ブランドと競合する領域に踏み込んでいます。
Dysonの戦略を整理すると
- 機器(ドライヤー・スタイラー・将来のマイクロニードルデバイス)
- 消耗品(スタイリング剤・スカルプケア化粧品)
- 自社農場由来の原料による差別化(Farm-to-Faceモデル)
この3本柱で、Dysonは美容家電メーカーから総合美容ブランドへと進化しようとしているのです。
まとめ
Dysonの特許・商標・製品展開を総合すると、同社は「美容機器と化粧品を組み合わせたプラットフォーム」を構築する動きを強めています。
マイクロニードル技術が実用化されれば、**“Dysonの美容液をDysonのデバイスで浸透させる”**という未来も現実になるでしょう。