【知財ニュース】話題の決済リング EVERINGについての知財調査・分析!

2025年10月12日

スマートリング「EVERING(エブリング)」とは?最新動向と知的財産まとめ【2025年版】

非接触決済やスマートロック連携で注目を集める指輪型デバイス「EVERING(エブリング)」。
2025年現在、ファッション性とテクノロジーを融合したウェアラブルデバイスとして注目を浴びています。
本記事では、株式会社EVERINGの企業概要、親会社MTGによる事業再編、製品の特徴、そして特許・商標を含む知的財産の動向を総合的に解説します。

株式会社EVERING 概要

会社名株式会社EVERING(エブリング)
所在地〒103-0027 東京都中央区日本橋3丁目6番2号 日本橋フロント1F
代表取締役 CEO川田 健
取締役 CTOAdrian Fachin
CMO岡 ファビオ
社外取締役岩村 浩幸
事業内容リング型デバイスの製造・販売、及び関連製品の輸入・販売、前払式支払手段(第三者型)による決済サービス提供
関係会社株式会社MTG(親会社)/ McLEAR Limited(英国・2025年7月解散)
累計資金調達額約20.7億円(2025年時点)

スマートリング事業の最新動向

EVERINGは、「指輪で支払う」という新しい生活スタイルを提案するスマートリングです。
Visaのタッチ決済に対応し、アプリでチャージすることで日常の買い物や交通機関の支払いが可能。充電不要・防水仕様で、“1秒の無駄もない”というコンセプトを体現しています。

EVERING スマートリング
出典:公式サイト

2024年度の売上高は約1.97億円(前年同期比+5.8%)、経常損失は約10億円。
Amazonプライムデーやスマートロック連携などの販促施策を実施し、ブランド認知が拡大しています。
広告費が重く赤字は続くものの、国内販路の拡大と固定費削減によって、2026年度の黒字化を目指しています。

事業再編と今後の戦略

2025年7月、親会社であるMTGは英国子会社McLEAR Limitedを解散し、スマートリング事業を国内の株式会社EVERINGに統合しました。
英国での長期赤字(年間約400万ポンド規模)を受け、今後は国内中心に携帯キャリアとの提携を軸とした展開を進める方針です。

NTTドコモ約2,000店舗、auショップ約2,000店舗への導入が進み、合計約4,000店舗体制で販売網を構築中。
さらに、大阪・関西万博での実証導入や交通機関との連携も進行中で、全国的な拡販フェーズに入っています。

スマートリング事業の業績推移

売上は着実に増加し、損失幅も縮小傾向にあります。事業統合後は販路拡大とコスト改善による黒字転換が期待されています。

特許の動向

EVERINGの技術基盤は、親会社MTGが保有するリング型ウェアラブル技術に支えられています。
特許情報を確認すると、主に「リング構造」および「サイズ判定システム」に関する出願が確認されています。

特許第6913590号(リング型ウェアラブル端末およびフレキシブル基板)
課題:複数サイズ展開を低コストで実現する。
概要:リング内部に通信部を内蔵し、フレキシブル基板の接合位置を調整することで、複数のサイズに対応可能とした構造。

特許第7236798号(リング型ウェアラブル端末)
課題:耐久性と防水性を高める。
概要:二重構造リングの内部に通信部を収納し、接着剤充填で強度と防水性を確保。

特許第7075719号(リング型ウェアラブル端末)
課題:使用者の指サイズに柔軟対応。
概要:内径補正部材を装着することで、一つのリングで複数サイズに対応可能。

特許第7109169号特開2022-132387(商品サイズ判定装置および方法)
概要:既知サイズのカードを基準に、撮影画像から指の太さを推定し、最適なリングサイズを自動判定する技術。
オンライン販売時にサイズ選定を容易にする仕組みとして注目されます。

EVERING特許 図面
出典:J-PlatPat(MTG出願資料)

これらの特許群は、構造のモジュール化や製造コスト削減を可能にし、EVERINGの軽量・防水・充電不要といった特性を支える技術基盤となっています。

商標・ブランド展開

商標名出願番号登録番号区分ステータス
EVERING(文字)2020-014642登録63742169,10,14,36登録中
EVERING(ロゴ)2021-057202登録65392249,10,14,36登録中
ゆびっ2024-116275登録69645529,14,36登録済
NEON BUZZ2025-0711059,14,36出願中

EVERINGの商標群は、親会社MTGが「EVERING」文字商標を、株式会社EVERINGがロゴを保有。
2025年には新ブランド「NEON BUZZ」および国内向けブランド「ゆびっ」も追加され、ブランド戦略の多層化が進んでいます。

まとめ

「EVERING」は、“1秒の無駄もない暮らし”をテーマに誕生した日本発のスマートリングブランドです。
2025年の事業再編により、MTGグループ内での位置づけを再定義し、IoTとファッションを融合するブランドへと進化しています。
特許技術による小型化・防水性・サイズ最適化を強みに、今後は交通・住宅・ウェアラブル分野へ応用が拡大する見通しです。